はじめに
- この記事は4月6日に行われた「チームの成果を高めるサーバントリーダーシップ」の参加レポートを書いたものです。
- 具体的な考え方やアクションの話が多くて、とても参考になる勉強会でした!
発表資料
www.slideshare.net
新技術の導入成功へ導く8つの文化的習慣
- Be Lazy
- 最小の努力で最大の価値を生み出す
- リスクや間違いを快く受け入れる
- 不確実性を受け入れる
- サーバントリーダーシップ
- セルフマネジメントチーム
- 従業員への信頼
- 個人の自信
- 階層関係のパワーバランス
ロッシェル・カップさんが聴講者に伝えられること
- 文化の違い
- アメリカではどんな働き方や人事管理をしているか
- 「ソフトスキル」やコミュニケーション方法
- リーダーシップ
サーバントリーダーシップとは何か
- 人々が最優先するニーズが満たされているということにフォーカスしてい るリーダー
- チームが必要としているのをサポートできるリーダー
サーバントリーダーシップはなぜ日本で必要なのか
サーバントリーダーシップのインパクト
- イノベーションを生み出す、生産性を高くするなら、社員をどのように管理するかがカギ
- サーバントリーダーシップはその効果を与える
- 特に、サーバントリーダーシップの割合が増えるともっと生産性が高くなる
ガンジーの言葉
- 世界を変えたいなら自分から変われ
スクラムマスターもサーバントリーダーシップが必要
- セルフマネジメントのチームにおけるメンバーに対してもサーバントリーダーシップが役立つ
- 命令にはスキルがいらないが、説得するにはスキルが必要
グーグルで成功する人の特徴
- 良いコーチである
- コミュニケーション上手・聞き上手
- 他人を理解している
- 同僚に対して共感的
- クリティカル・シンキングと問題解決
- 複雑なアイデア同士を結びつける
- 科学や工学などの専門性を持っている
この順番が大切だが、日本企業は優先順位が完全に逆だった
さらに、1〜4のソフトスキルが、「コミュニケーション」という一言でしか出てこない。
サーバントリーダーの素質(『Scrum Mastery』より)
頭文字をとって「RETRAINED」と表現している。
- Resourceful
- 困難な中で問題を解決する
- Enabling(日本企業が得意)
- 他の人が結果を出せるようにサポートする
- Tactful
- 機転が利く
- Respected
- 尊敬されている
- Alternative(日本企業が苦手)
- 新しい文化を導入しようとする
- Inspiring(日本企業が苦手)
- 元気づける
- Nurturing(日本企業が得意)
- 人の育成
- Empathic(日本企業が得意)
- 共感的
- Disruptive(日本企業が苦手)
- 現状打破
サーバントリーダーが取るべき行動①(特に日本人が気をつける部分)
- 上手に質問して、メンバーの考えを刺激する
- フィードバックの力を活かす
- 改善してほしい行動を指摘する
- 良い行動を認める
- 自分の行動に対してチームからフィードバックを得る
- 会議のファシリテーションをする
- 心理的安全性を育てる
- 「変わった」発言に有難味を示す
- 少ない発言数の人に発言を促す
- 多い発言数の人は抑える
- バカな質問を言えるような雰囲気作りを
サーバントリーダーが取るべき行動②
- ビジョンを描く
- チームメンバを個人として知る
- 1:1の会話をする
- 日本のリーダーはなかなかやらない
- 歩き回りによる経営
- 1:1の会話をする
- 多様性の尊重(考え方の多様性)
- 固定観念を避ける
- 同調すべきというプレッシャーを避ける
- ポジティブさを保つ(チアリーダーになる)
サーバントリーダーが出来ているかどうかのチェックリスト(毎日確認)
- 相手に考えさせるような質問をしたか?
- 改善する余地があるところを指摘したか?
- 良い行動に対して感謝を示したか?
- MTG時、皆がバランス良く発言したか?
- 喋り過ぎる人がいなかったか?
- 黙っている人がいなかったか?
- MTG時の発言には、バリエーションや新しさを感じたか?
- 励ましの言葉をかけたか?
- 目標となるビジョンについて触れたか?
フィードバックを依頼する方法
- 上司がどういう行動をとったか
- フィードバックの依頼を忘れると、恐い(上司との壁?)と感じる可能性あり
- 「役立てる上司になるには?」と聞いちゃおう
質疑応答
Q. サーバントリーダーシップのメンバーはどんなスキルを要求される?
- メンバーの自主性が問われる
- Agileを導入しようとしたが、指示待ちメンバーだったということはある
- サーバントリーダーシップを行うのと同時に、メンバーが自信を持つのもセットで
- 「私はこれだけ期待しているんだ」と伝える
- 「あなたに考えてほしい」と伝える
- 指示待ちからの脱却
Q. メンバーの自主性に任せて行った結果、メンバー間のコンフリクトがあった時にどのように対処するか?
- サーバントリーダーシップは仲介者になる
- コンフリクトの原因を考えて、一緒に解決に向かう
Q. 命令とサーバントリーダーシップのビジョンの違いは何か?
- 達成したいことを示すことが大事
- 達成するための方法はメンバーに考えてもらう
アメリカの銃規制の話
- アメリカではなかなか拳銃の規制ができない。
- そんななか、銃殺事件があった高校の学生に注目している。
- 学生だからお金などが何もないが、コミュニケーション能力があった。
- インタビューでビジョンを示した
- 感化するスピーチをしている
- We call BS www.youtube.com
- Twitterなどでコミュニケーションをしている
- これは命令したわけではないが、スピーチなどによって市民に刺激した
- ライフル協会との関係を切る企業が増えた
- 拳銃規制推進を目指しているボランティア団体への寄付が激増した
Q. サーバントリーダーシップを発揮する組織構造は?
- これはどの本にはあまり書かれていない点。
- 今後研究する必要があるかも
- ただし、これを理由にサーバントリーダーシップを採用をしない言い訳にしてほしくない
Q. 状況によってサーバントリーダーシップが適切でない時はあるか?
- 軍隊や自然災害のときとかはコマンドコントロールが適切な時が多い
- ただし、自然災害の時は命令ではなく、自分自身で動いたほうが良いときもある。
Q. 感化させるビジョンを作るスキルは?
- 達成することで世の中がどのように良くなるかを描いて伝えること
- セキュリティの組織のビジョン
- 「数百万人を守って」→無味乾燥で分かりにくい
- 「Yahoo.comのようにはならない!」→分かりやすい
- セキュリティの組織のビジョン
Q. サーバントリーダーシップはチームの成果が上がると思うが、そのためにリーダーはどのようにメンバーを感化させれば良いか?
- サーバントリーダーシップのチェックリストをメンバーに対しても使ったりすると良い
- ただし、最後の項目「目標となるビジョンについて触れたか?」は除く
- そのために、リーダーがチェック実行の模範になる
Q. サーバントリーダーシップはボトムアップの方法のように見える。一方で、上の人は命令しようとする。
- 上からの命令はやるが、「方法についてはメンバーで考えさせてほしい」とバッファを貰う
- 目標をどうするかメンバーが決めて、リーダーはそのことを上に伝える
Q. リーダーは上と下に挟まれて、ストレスが溜まってしまうのでは?
- リーダーのストレスについては、自分の心のケアが重要
Q. 社員が元々、働くことに悲観的な人がいる。その中でサーバントリーダーシップを行うためにはどうすればよいか?
- 日本のマネージャが部下を選べないのはかわいそうな点。
- 日本ではもっと流動性のある社会になるべき
- 日本ではモチベーションの低い人の割合が多い
- 会社に対する信頼について、日本が世界で一番低いというデータもある
- まずは部下を個人として知ること
- 何を大切にしているか?
- なぜこの会社を選んだのか?
- 人生の目標は?
- などなど…
- もしかしたら潜在能力があるかもしれない
- まずは、なぜモチベーションが低いのか聞いてみよう
Q. サーバントリーダーシップが無理そうな上の人の特徴を知りたい
- 会社の中のインセンティブ構造が変わらないと難しい部分はある
- ミスの懲罰性を無くすとか
- 人事制度を変えるとか
- それでも、どんな人でもサーバントリーダーシップは適応可能だと信じている
- 過去にも、セミナーを行った結果、保守的だった運用部門のマネージャが変わった例もある
- 何がカギになるかは分からない
Q. サーバントリーダーシップの発揮をどのように評価すれば良いか?
- チームの成果をリーダーの評価とすれば良い
Q. 道半ばなチームの成果を評価した結果、「成果が出てないから、やっぱりサーバントリーダーシップを止めよう」となるのでは?
- 「成果が出てない」には色々なパターンがあり、複雑で答えにくい。
感想
- サーバントリーダーシップについては以前から知っていたが、今回の勉強会では、より具体的なアクションの話が多くて参考になった。
- ロッシェル・カップさんは日本企業にも詳しいということもあり、日本企業での注意点についても多く話されていて「確かに」と頷くような場面が多かった。