はじめに
- その場で聞きながら書いたため、間違っている箇所があるかもしれません。
- 指摘箇所があれば、コメント等でお願いします。*1
自己紹介
倉貫
- XP祭りは10何年参加している
いつの間にかスタッフだといわれ、スタッフMTGに参加していたらいつの間にか会長になってた
働き方という話
- 社員の半分が全国で在宅勤務&コミュニケーションはチャット
- 働き方改革と改めて言われても、昔からやっているので質問されても困る
青野
- サイボウズで代表をしている
- 元々プログラミング少年だった
- MSXを購入し、大学はコンピュータ・サイエンスを学んでいた
- 1年先輩の同研究室の畑慎也さんのプログラムを見てショックを受けた
- 松下電工に入社したが、120人に対してPCが3台しか無かった。
- macのパワーブックを自費で購入して、GW後に持ち込んだ
- インターネットのブームに乗って、新卒3年で辞めてサイボウズを起業した
- 16年ぐらいプログラミングはしていない
「働き方」とか興味ない
最初の頃のサイボウズは良い感じでブラックだった
- 25%ぐらいの離職率があった
- 社員に「ワガママ言って」と伝えたら、「残業したくない」とかいっぱい要望があった
色々やったら5%ぐらいまで減った
- 昔も死ぬ例があったが、今は厳しい。
- 残業をさせないために、「帰れ」と言って、責任逃れをする
- 最近、「働き方改革に関するお詫び」の広告を出した。
- 働き方改革が曲解されてると感じている
倉貫
- 昨日もコードを書いている
- 学生時代からベンチャーで働いている
- それまで家庭教師や寿司屋のバイトをしていた。
- 自分の性格と合わなかった
- よく考えたらプログラミングでバイトを募集しているな
- プログラミングで遊んでいたらお金になる
- こういう仕事いいな
- 一生プログラマーでやりたい
- 就活時は就職氷河期だった→大企業に行こう
- 独立系SI&オブジェクト指向ができる会社
- →オージス総研or東洋情報システム(TIS)だった
- 99年はプロジェクトマネジメント全盛期だった
- 2000年問題があったので、プログラマが必要だった
- 入社直後、「これからTISはマネジメントの会社になります」という方針を聞いて「えっ!?」となった
- 配属しようと思っていた部署も3月末で廃止に
- 周りは「IT業界に入りたい≠プログラミングやりたい」だった
- マネジメントが出世コースなので、マネジメントやります
- 社内で合う人がいなかったので、社外に出たらXPJUGがあった
- 参加したら、社内のマイノリティの人がいっぱいいた
- 社外に出ると、物差しが増える。社内だと上司しか物差しがない
- すごいと思う人がお酒を飲むと普通のおじさんだった
- 発信しているうちに、社内でも面白いやつがいるとウワサになった
- 「色々やってクビになろう」と思ってた。
- 真面目な働き方が分からない
青野
- 社内ベンチャー時代にお会いしたことがある
- 独立後「納品のない開発」とか、おかしなこと言ってるなと思ってた。
「納品のない開発」について
倉貫
- TISから独立した頃は、仕事は自社開発のものだけだった
- せっかく独立したので、まずは会社のビジョンを考えよう
- リーダーがどうこうではなく、乗組員の顔を見て決めればよい
- 独立した5人が全員がプログラマだった
- 一生プログラミングをできる会社に
- リーダーがどうこうではなく、乗組員の顔を見て決めればよい
- 営業とかマーケティングが必要だった
- 用もないのに人の家に行くのが辛い
- 受託開発するしかない
- ただし下請けはヤダ
- 用もないのに人の家に行くのが辛い
- 開発は繰り返しをすべきだなぁ
- けど1回こっきりの納品がある
- お客様も納品した後に言ってくるし
儀式で納品しているだけなのでは?
最初発表した時は「意味が分からん」「そんなのでうまくいくわけないでしょ」と言われた
- 「無理でしょ」と言われると頑張りたいと思った
理解してくれる顧客も出てきた
例えば、電力自由化によって、電力会社が自由に作れる
- 東京電力がメーカーになって、小売業者が作れるようになった。
- そんな電力会社が顧客に
- 1人で電力会社の基幹システムをRuby+AWSで作ることになった
- SIerの場合、電力会社の基幹システム=数億となっていた
- 電力会社も投資して…とか
- 電力会社の仕様は頻繁に変わるので、ウォーターフォールでやっていると全滅してた
青野
- PJの失敗するだけならまだしも、死人が出ているのはちょっとね
- やらされ感が出てくる仕事があって、喜びを奪っていた
倉貫
- お伺いを立てないといけない
- WFの上流で決めた人は楽しくやってる
- 夢語っているうちはそりゃ楽しいさ
最後までケツ吹けば良いのに逃げていく
社員でプログラムができる若者は使い勝手が良い
- 上手く行ってないPJは本当に最初から上手く行ってないのか?調べてみた
- 上流に行けば行くほど清らかな世界
- 最上流「お客様も夢があって、うちの会社も協力して、毎日飲みに行ってた」
青野
- 仕様をなかなか決めない
- 大きいところは、お客様にも決断を求める
お客さんも参加意識が出る
上流と下流が離れるほど責任感が薄くなる
倉貫
- 1週間分だけお客様に決めてもらうようにしている
- 1周間分がダメだでも、すぐに修正ができる
現場寄りの話について
青野
- 開発のことを聞かれても知らない
- ちょうど、目の前の席に社員の天野がいるので、話してもらう
天野
- サイボウズkintone開発の天野です。
- kintoneは1年前にスクラムを導入した
- 前までは作って出荷していた
- クラウドは3ヶ月で出荷
- 高速WFになってて辛かった
- 今は2週間のサイクル
- 社長がスプリントレビューに参加
- QAの部門が大きいが、試験を順次回しているようにしている
- 3ヶ月の出荷サイクルが1ヶ月の出荷サイクルになった
青野
- 今はホワイトボードだらけ
- 総務部門も
- 我が家でもホワイトボードがあったりする
- 夏休みの最後にWF的にリリースしますからね
- 見えるようにしたが、やらないことはやらない
- けど、9月4日には宿題を終わってた
倉貫
クラウドを扱うようになって、社内も変わったのでは?
青野
- 一番変わったのはDevOps
- 前までは運用はお客様任せだった。
- スキルもないし、やりたい人がいなかった
- クラウドになったら、運用もやる必要が出来た
- 作るところでも意識するようになった
倉貫
- 開発から運用へというようなキャリアになる?
青野
- 今はないが、運用の人も開発ができるようになっていかないといけない
倉貫
- 創業時は開発と運用メンバが分かれているが、5人だけだと運用メンバが暇になる
- →開発やるか
- Rubyを勉強し始めた
- 開発者は運用が開発をし始めると「俺らの存在って…」と思うようになった
- クラウドになるとプログラミングの延長でサーバーが用意できるようになった
- Rubyなどになると、メモリのことを気にしなくなったり、OSSで色々できるようになった
- クラウドとOSSによって、開発と運用のハードルが低くなった
青野
- 結局アジャイルしていくことになる
倉貫
- メンテが別人だと、「ちょっと良いかな?」と思ってしまうが、自分自身が運用することになると「ヤダ」となる
納品なくして、オフィスをなくしたが、今度は何をなくそうと思うか
倉貫
- 次は管理をなくそうとしている
- 経営はするが、管理はしない
- 管理されるのは嫌だし、管理するのは面倒
- 部署がないので中間管理職がない
- 「中間管理職」という言葉が悲劇の元
- だって、中間で管理ですよ!?
- 指示命令がない
- 自分で考えて自分でやる
- 有給も自分で申請&承認
- だって、上司が有給却下することないじゃん
- 会社のクレジットカードを全社員と共有した
- 社長も含めて全社員の経費利用状況がオープン
- 「良いもの食ってる」と見られちゃう
- 個人評価も無くした
- 評価が面倒
- 「お前、何を分かるねん」と。
- エンジニアは評価をされにくい
- 良いコードはビジネス的にすぐに評価されない
- メンテ時に初めて価値が分かる
- その時は評価されにくい
- 「コード量少ないんじゃない?」→「コピペしたろうか」となる
- 給料も山分け
- 売上目標も無し
- 結果、社長の仕事が一気に減った
- 社員との面談も無くなった
- 今はストレスフリー
青野
- 基本給は?
倉貫
- グレードはある
- 弟子・見習い・一人前の3段階しか無い
- それぞれのグレードの中は一律
- 勤続年数でおまけが付く(しかし上限付き)
- 「いつかはすごい給料になるから、今は我慢して」は無理。
- 経済も成長してないのに。
- 「給料上がらないから、欲しい人は副業して。」と言ってる
- お金は十分与えているので。
- 給料格差はない。
働き方改革
青野
青野
- 自分で考えて、自分でやって、自分で責任を持つ
- 自分でPDCAを回す
倉貫
- 自分で考えなくちゃいけない中で、会社でサポートする?
- そういうこというと、外を見て会社を辞めちゃうかも
青野
- 「あなたのキャリアはどうしますか?」と考える機会を半年に1回設けている
- 「他の部署に行きたい」となったら、本部長の異動会議に載せる
「今もう少しここの部署でやった方が…」とかもあるが、そういう話の結果もフィードバックとして本人に伝えている
本人からキャリアチェンジを言い出せない人もいるが、上司からの逆ドラフトもある。本人は断っても良い
自立して欲しいが、引き出す、ファシリテートを組織で作り出せれば
出ていくと、人件費が減るんですよ。(笑)
出ていく人に対して悪いと思わないほうが良い
- 去った後に成長してれば、良かったなと思う
倉貫
- 洗脳ではなく、魅力があるから辞めないようにするのは、すごいが魅力を作り続けないといけない
青野
- 大企業の退職金は20年を超えた後に伸びる
倉貫
- 普通、目標を管理すると思う
- サイボウズさんは評価の面接ではなく、キャリアの面接なのが良い
目標の面接にすると、設定を低くするはず
- 自信家だった自分は、高いハードルを達成しなかった自分は評価されない
私たちはYWTを(やったこと、わかったこと、次にやること)を話す
仕事の成果を話していても意味が無くて(評価しないから)、得意・苦手を見返す機会を作る
学生時代までは3,4年に1回、進路相談の機会があったが、大人になったら進路相談をしなくなる
半年に1回進路相談の機会を作ろう
YWTは若手とベテランで違う
- 若手はキラキラしたことを言う
- ベテランは「向いていないことが分かりました」と言ったりする
- 普通の会社の面接では言えないこと
- 「これ出来ません」と言ったからには、次やることを一生懸命やる
- そうすると不適合な人が集まるが、何か尖っている人がいる方が会社として良い
- 弱みを見せるのが大事
青野
- 自分の向いていないことに気付くと、得意な人を尊敬する
- 別の部署の大変さを知らないからギスギスする
- 営業の副業でカレー屋さんやってる人もいた
倉貫
- 奥さんがパン屋さんをやっているが、そんな奥さんが大好きだからリモート勤務すると言った社員がいる
- 木・金はパン屋の仕込みという副業をしている
青野
- パン屋の仕事きたら活躍しますよ
- プロトコルがあるんで。
倉貫
質問①
質問者
- 「倉貫さんの話の中で、クラウドになったことで組織も変わる」とあった。
- どうやってものが出来るか分かっている社長さんですが、「俺に分かるように説明してくれ」という経営者をどう思うか?
- なぜかソフトウェアを分からない人が経営していることが多いと思うが…
青野
- 日本が遅れている理由の一つがそこ
- なぜなら、これらをコストとして見ているから、
- そういう会社は沈んでいくしか無い
倉貫
質問②
質問者
- マネージャはどういう風にしていけば良いと思うか?
倉貫
- 今後のキャリアとして、1人で複数のスキルセットを組み合わせて仕事をしていくようになるのではないか
- 例えば、今の副社長は社内のバックオフィスを作りながら仕事している
- kintoneを使っているので、JSを開発するだけで、運用はサイボウズさんに任せられる
- 中小企業の社長さんから働き方改革を聞かれるが、「まずはムダなことをなくしましょうよ」と言っている
- 他社はチューニングしないところが多い。
今まではやり方が分かっていなかった総務の人が、やり方を伝えるだけで改善ができる
昔は「社内SE」と言っていたが、「業務ハッカー」という言葉にすればかっこいいと思ってもらえる
マネジメントの組み合わせる内容の一つ
青野
- 今までのマネージャがマネジメントと称していたのは相当効率化できる
- マネージャがいらないわけでなく、マネージャはビジョンを作って共感してもらう
- 倉貫さんはビジョンを発していて、メンバが共感している
- 風土を作るのがマネージャの仕事
- より次元の高いマネジメントにシフトしないと、これからの組織はまとめられない
質問③
質問者
- マイクロマネジメントな仕事をしていて、マネージャが優秀で成果が出ているが、組織として見た時に歪な形になっている。
- 下が育たない。自分の経験が正しいと思っているマネージャをこういう場に連れてくるためには?
青野
- 働き方改革は2年前ぐらいまで人事の人が聞きに来たが、2年前ぐらいからは経営者が聞きに来た。
- 今年は情シスの人が聞きに来る。
- 徐々に波が広がってきている。
- もしかしたらそのマネージャも気付くかもしれない。
- 確実に前進している。
質問者
- 殺し文句は?
青野
- 人手不足がはっきりしてきた
- 「このままだと採用できない、このままだと辞めていく」
質問④
質問者
- 「マネージャをなくしたよ」と言うと「仕事がなくなってしまう」などの受動的になってしまいがちだと思う。
- 社員の方々は、会社に入る前からその意識だった?それとも会社に入ってから意識が変わってきた?
倉貫
- 中途採用は働き方に共感して入ってくれる
- 応募から入社まで半年から1年かかる
その間に似た考え方か見る
新卒は学生なので、働き方についてはわからない。
- 0からなので、会社の責任として育てる
- 「会社は潰れるかも」「自分で考えて成長する」「どこに言っても通用する力は提供する」
- と伝えれば、会社が潰れても納得してもらえるなと。
青野
- 会社が潰れても社員がいきいきとする状態になるのが良い。
- 元々技術力が高い人が入ってくるわけではない
- The・サラリーマンな社員がいる。
- 「副業したら?」と言ったら、「辞めろと言っているんですか?」と言われた
- 結局、その人も副業探しの旅に出たりした。
- 機会を与えるようにしている
倉貫
- 副業はお金が入ることよりも、自分が自信を持てることが大事。
まとめ
青野
- すごく楽しい時間でした。
- ITエンジニアはもっと評価されるべき
- そして逆らうべき
- もっと給料上げろと声をあげるべき
- 声をあげることで社会が変わるはず。
倉貫
- オファー頂いた時に、「XP祭りで青野さんで大丈夫ですか?」「ここに連れてきて良いのか?」と思っていたが、杞憂だった。
- 小井土さんには「遊んでいるのか働いているのかよくわからないね」と言われたが、それは正に私がやっていること
- 働くこと自体が楽しいとなれば、本当に革命になる
- 「働き方改革を提言できるのはエンジニアだからでしょ?」と言われる。
- 確かにそういう側面がある。
- だからXP祭りの会場は話しやすい。
- 皆さん、やりやすいんです。
- 昔は資本家がいて、労働者がいる
- 今は逆転している。エンジニアの方が価値が高い
お金を持っている人よりもスキルを持っている人の方が価値が高い。
好きな場所で働けるかどうかが大事。
*1:既に @Mura_Mi さんに多数ご指摘頂きました。本当にありがとうございました!