はじめに
この記事はソフトウェアテストアドベントカレンダーの17日目の記事です。
前日はおーだんさんのASTER-テスト設計コンテストのすゝめでした。
おーだんさんはテスト設計コンテストというイベントについてでしたが、私はWACATEというイベントについて書きます。
目次
- はじめに
- 目次
- WACATEとは
- WACATE 2018冬の概要
- BPPセッション
- コマンド&コントロールから抜け出そう!?
- JSTQB TA テスト技法の紹介
- プロセスを図にしてみよう!!「その仕事の地図を書くのは君だ!!」
- 組み込みマニュアルテスターだった私が、Web系自動テストエンジニアに!?💦テストエンジニアに求められるスキルと今後のキャリア💪🏻
- 夜の分科会
- (主に)Agile Testing Days 2018 参加レポート
- 本当に初心者の方に送る「そもそも自動化とは何か。自動化するために必要なスキルとは」について話すセッション
- コードカバレッジを知ろう!
- 自分のためのチェックリストを作れるようになろう
- 50分で講師になれそうな気になるASTERセミナーテキスト
- ライブコーディングでわかるテスト駆動開発
- おわりに
WACATEとは
公式ページはこちらです。
公式ページによるとWACATEとは、
Workshop for Accelerating CApable Testing Engineers:内に秘めた可能性を持つテストエンジニアたちを加速させるためのワークショップ
だそうです。*1
5,6名で1グループを作りワークショップ形式で行う1泊2日の勉強会です。半年に1度行われます。
「とりあえず話を聞いてみよう」という感じの勉強会ではなく、ワークも多いため、結構ガチです。ただ、それだけ得るものも多いです。
WACATE 2018冬の概要
WACATE 2018冬は、12/15,16に行われました。
今回は「C’mon baby ジドウカ」ということで、招待講演にt_wadaさんもお招きし、自動化も扱う回となりました。
ですが自動化だけでなく、プロセスやチェックリスト、ソフトスキルなど多岐に渡る内容でした。
ここでは、私のグループで起こった出来事を紹介しつつ、各セッションを紹介していきます。
BPPセッション
このセッションは、色々な経緯で私が発表者でした。*2
そこで、過去の勉強会などでの経験を通じ学んだ、「テストとは」という問いに対する様々な人の回答を紹介しました。
mentimeterというサービスを使い、聴講者の感想を聞いた結果、以下のようになりました。
私の狙いとしては、「想い」が伝われば良いなと思ったのですが、それがある程度伝わったかなと感じました。
コマンド&コントロールから抜け出そう!?
概要
「コマンド&コントロール」の反対として「セルフオーガナイズド」という言葉を使って、どちらの思考を持っているかについて話し合いました。
詳しくは、おそらく公開されるであろう資料を参考にしていただければと思います。
グループ内で発生した会話
例えば、
「○○をお願いします」と言われた時に「嫌だ!」と返答するのは「コマンド&コントロール」「セルフオーガナイズド」のどちらか?
という話は、意見が分かれました。
- コマンド&コントロール派…特に何も考えずに、今までと違う内容に拒絶感をしめして「嫌だ!」と発言している
- セルフオーガナイズド派…自分の意思を持って、「嫌だ!」と発言している
個人的には、どちらの話が出ても良いと思っていて、重要なのは人によって感じ方が異なることを明示化できたことだと思っています。
JSTQB TA テスト技法の紹介
概要
タイトルの通り、JSTQB TAのテスト技法の解説及び演習の実施でした。
演習では、クラシフィケーションツリーを扱いました。
www.slideshare.net
グループ内で発生した会話
クラシフィケーションツリーの演習の結果、模範解答となる6ケースが導出できた人が2人いました。
ですが、その思考過程が異なっていたのが興味深かったです。
- 思考過程1:最初にすべてのケースを導出し、そこから間引きできるものを削っていった
- 思考過程2:どの部分を最初に考慮すれば効率化できるか考え、そこから調整しながら作成した。
どちらの思考過程でも良いと思っています。
ただし、その思考過程を共有できたのはWACATEのワークショップならではでした。(普段の業務だと結果しか共有されないことが多い)
プロセスを図にしてみよう!!「その仕事の地図を書くのは君だ!!」
概要
プロセスを示すことの重要性を解説し、プロセス図の一つであるPFDについてのワークを行いました。
グループ内で発生した会話
ワークを行った際に、以下のような結果を書いた人(Aさん)がいました。
これだと、inputが何も無いにもかかわらず、プロセスが発生しています。
そこで、以下のような会話をしました。
- 私「これってどうしてinputが無いの?」
- Aさん「だって、スケジュールを相談することで、スケジュールは作成できるから…」
- 私「そしたら例えば、『テストを2日でやって』と言ったらそれでできる?」
- Aさん「いや、それは流石に無理です!」
- 私「え?どうして無理なの?だって、テスト実行のスケジュールはそれでできるじゃん」
- Aさん「だって、テストの量が多くて、そんなの正しいスケジュールになりません」
- 私「なるほど。それじゃあ、これって、テストの量が判断材料になるから、このプロセスのinputになりそうだね。」
これならば、inputがある状態の正しいPFDになります。*3
PFDを初めて書く人にとっては、inputが無いPFDになりがちです。
もちろん初めから書けるとは思っていません。
しかし、それも会話を通じて納得した状態で理解していけるのならば良いかなと思ってます。
組み込みマニュアルテスターだった私が、Web系自動テストエンジニアに!?💦テストエンジニアに求められるスキルと今後のキャリア💪🏻
概要
転職した時に感じた話を発表していました。
ワークはありませんでしたが、参加者に1年目が多かった今回のWACATEでは、広い視野を持つことの大切さを理解できるセッションだったのだと思います。
夜の分科会
概要
いくつかのテーマから自分が興味を持ったテーマに行き、話し合う時間でした。
私は、BDD+モブプログラミングを体験できる場を提供しました。
詳しくは別記事に書きました。
(主に)Agile Testing Days 2018 参加レポート
概要
ソフトウェア技術に関する国際会議についての紹介でした。
私のグループでは、私以外誰も、カンファレンスに行ったことがないようでしたので、外の世界を知る良い機会になったのではないでしょうか。
本当に初心者の方に送る「そもそも自動化とは何か。自動化するために必要なスキルとは」について話すセッション
概要
タイトルの通り、自動化のとっかかりを伝えるセッションでした。
既に資料は公開されていますが、自動化に触れたことがない人にとっては本当にオススメの資料です。
www.slideshare.net
グループ内で発生した会話
「普段、身の回りで起こる業務の中で、自動化できるものは無いか?」というワークを行いました。
そこでは、「勤怠関連の自動化」という意見が多く出ていました。
そんな中、私が書いたのは「昼食時間を伝えるアラーム」です。*4
ここから連想しましたが、例えば「朝の目覚まし」も、毎日同じ時間に設定されており、これも一種の自動化なのでは?と感じました。
コードカバレッジを知ろう!
概要
ユニットテストの大切さと、それを測るものの一つとしてのコードカバレッジについての解説・演習を行いました。
グループ内で発生した会話
私のグループでは、開発寄りの業務を行っている人が少なかったこともあり、なかなかワークで苦戦しました。
そこで、カバレッジに関する理解を深めるという以前に、どういうアルゴリズムなのか、解説することに重きを置きました。
しかし、結果的に後述する招待講演である程度の効果をもたらしたと思います。
自分のためのチェックリストを作れるようになろう
概要
良いチェックリストとはなにか、どのようにすれば上手く活用できるのか解説するセッションでした。
グループ内で発生した会話
チェックリストを見直すワークでは、その人が持っている背景の差異によって、見直した後のチェックリストの内容が違うものになっていました。
(ちょっと業務的な話が絡んでいる可能性があるので、ブログ上には詳しくは掲載しません)
50分で講師になれそうな気になるASTERセミナーテキスト
概要
ASTERセミナー標準テキストの紹介と、これを講座として活用するにはどうしたら良いかの解説・ワークを行うセッションでした。
www.slideshare.net
グループ内で発生した会話
ASTERセミナー標準テキストはJSTQB FLに準拠した内容です。
しかし、私のグループではJSTQB FLの取得者が一人もいなかったため、なかなか「ASTERセミナー標準テキストで教える側」という立場が想像できていなそうでした。
そこで、普段の業務で困っていることを聞き出して、そこから使い道を考えるワークにしました。
これも詳しくは業務に関わる話なのでここでは書けません。
ただ、「(特に自分の身の回りの人が)普段、何に困っているのか」と起点に考えると、何のために講座を行うのか考えやすそうでした。
ライブコーディングでわかるテスト駆動開発
概要
t_wadaさんによる、TDDのライブコーディングでした。
また、最後にはテストエンジニアがどのようにTDDのような活動に関わるかの話もしていました。
おわりに
今回は私のグループ内で発生した会話を交えつつ、各セッションの内容を簡単にですが紹介しました。
ここまで見て分かってもらえるように、WACATEは本当に濃厚な2日間でした。
次回は半年後(2019年6月)開催予定なので、興味を持った方はぜひ、WACATEのtwitterアカウントやWACATEのページをチェックしてみてくださいね!