ソフトウェア品質シンポジウム(SQiP)2014に行ってきました(基調講演編)

9/11・12と、ソフトウェア品質シンポジウム(SQiP)に行ってきました。

「シンポジウム」とか聞くと、お堅い印象を持たれるかもしませんが、全然違った!!
特にお堅い印象を無くしてくれたのが、基調講演2つ。


基調講演その1『ビジネスが変わる・・・品質が変わる』

講演者は「横塚裕志氏 東京海上日動システムズ(株)顧問

ね、一見すると「ちょっと堅そう」でしょ?
だって「顧問」のお出ましですよ?


ただ、中身は全然違う。
時代に合わせた柔軟な発想でした。
むしろ、聴講者達は、「自分の考えは全然追いついていない」と感じてしまったんじゃないでしょうか。

 

「時代が求めている品質は、

(トラブル/生産量)の極小化

ではなく、

(効果×スピード/生産量)の極大化

である」

という言葉は、色々な例も踏まえると非常に納得出来ました。

例えば新聞記事とか。

昔…誤字などを気をつけて、記事の質を高める
今…質よりもスピード

ただ、納得しつつも、組み込み系やエンタープライズ系は対応しきれていないのも事実。

 

基調講演以外の発表などを聞いていても、「組み込み系やエンタープライズ系」と「コンシューマ系」で品質に対する定義が違っているように感じました。

 

それは、楽天の荻野さんの経験発表冒頭での「基調講演の発表内容が当たり前だった自分にとっては皆さんの反応が意外だった」という発言などが物語っています。

ちなみに、荻野さんの発表資料はこちら。

この発表もお堅い印象の無かった良い発表に思えました。

【JaSST'14 Tokyo】システムテストの自動化による 大規模分散検索プラットフォームの 開発工程改善

 

 


基調講演その2『リスクマネジメントのための失敗学---再発防止と未然防止---』

講演者は「濱口哲也 東京大学大学院特任教授

ね、こっちも一見すると「堅そう」でしょ?
だって「東大大学院教授」のお出ましですよ。


「どんな人だろう…?」とか呑気なことを考えていたら始まったマシンガントーク!!!
あっっっっっっっっっっっっっという間の1時間でした!!!


そして気付かされました。
お堅いのは、講演内容ではなく会社のマニュアルだったんですね。

例えば、会社のマニュアルでは

1. Aをやりなさい
2. Bをやりなさい
3. Cをやりなさい
4. Dをやりなさい

と書いてあることが多くて、

1. AとBとCをやりなさい
2. Dをやりなさい

と書いてあることは少ない。

一般的には前者の方が良いとされているけれども、下の方が適切なんだな、と。


実は「見直そう!開発文書のあるべき姿」というSIGに参加したんですが、その時には、
「手順やif分岐をつらつらと文章で書かれても、読む方は辛い」
という意見が出ていました。


基調講演2の話をまとめると次の2つ。
1. 失敗したら、言い訳を残せ
2. 「つまり」を使って上位概念化せよ

そして、昨日、家に帰ってきてニュースを見てたら、こんな記事がありました。


時事ドットコム:カテーテル誤挿入で患者死亡=マニュアル熟読せず−名大病院

記事内には

記者会見した石黒直樹院長は「深く反省している」と述べ、マニュアルの順守を徹底させるなど再発防止に努める考えを示した。

と書いてあり、Yahooのコメントには

マニュアルがあってそれを熟読しないってどういうこと??

とコメントで書かれていました。

きっと基調講演2を聞いていた人は、このニュースに対する考え方が違うんではないかなと思いました。