一昨年から始まりましたJaSST Reviewを今年も開催します。3回目の開催です!
本記事では今回の発表内容をざっと紹介していきます。読んだ上で興味がある発表がありましたら、ぜひイベントに参加登録をお願いします!
目次
- 目次
- JaSST Reviewとは何か
- 今回のJaSST Reviewのテーマ
- 講演1 : 専門書が出版されるまでの編集者の思考と行動 ~編集者はどのように校正・校閲しているか~
- 講演2 : ソフトウェア設計における意思決定とそのレビューの秘訣
- 事例紹介1 : 刺激語カードを用いたソフトウェアレビューの実践について ~アイデアを刺激し意識外から観点を得る
- 事例紹介2 : レビューイの力を引き出すフィードバックのチューニング~チーム外からの支援で見えてきた、成熟度に応じた「問いかけ」の調整方法と各種レビューへの適用可能性
- おわりに
JaSST Reviewとは何か
JaSSTとはソフトウェアテストシンポジウム(JaSST)のことで、2003年から全国各地で開催されているテストのイベントです。全国で年間10回以上開催されています。
そしてJaSST ReviewはJaSSTの一つで、ソフトウェアレビューに特化したイベントです。
詳しくは以前書いた下記記事を参照してください。
今回のJaSST Reviewのテーマ
今回のテーマは「レビュー対象へのアプローチ方法」です。
以下、JaSST Review'20のページから抜粋。
「多くの気になることのうち、なぜその内容を指摘しようと考えたのか?」
「気になることって、そもそもどのようにして出てくるのか?」
「レビュー対象の中から、作成者に最初に質問した部分はどのように選択されているのか?」
このような質問をレビュアーにしたとしても、「なんとなく」と答えてしまう方が多いかもしれません。
一方で、明確な言語化はしていないものの、自分自身の頭の中では決まった方針があって、それをもとにレビュー対象にアプローチしているレビュアーもいると考えています。
このような、「レビュー対象へのアプローチ方法」「レビュー対象を探る際の狙い」について、今回は議論したいと思っています。
自分たちがとったレビューでの言動がどんな意図を持っているのか、改めて考えられるようなコンテンツになっていると思います。
以降、どのようなコンテンツがあるのか紹介していきます。(主に予稿集の原稿を読んだ感想)
講演1 : 専門書が出版されるまでの編集者の思考と行動 ~編集者はどのように校正・校閲しているか~
1つ目の講演は日科技連出版社の鈴木兄宏さんによる講演です。
鈴木さんは、JaSST Review実行委員の安達さんが書かれた『ソフトウェアプロセス改善手法SaPID入門』などの書籍の編集を担当した方です。
発表当日は、当時の安達さんとのレビューのやり取りも紹介してくれる予定です。
安達さんによる講演の紹介はこちら。
JaSST-Review講演者一人目は日科技連出版社の鈴木さんです。
— きたのしろくま (@kitanosirokuma) 2020年10月9日
「専門書が出版されるまでの編集者の思考と行動~編集者はどのように校正・校閲しているか」
『実践ソフトウェアエンジニアリング』『ソフトウェアテスト技法ドリル』『データ指向のソフトウェア品質保証』等の編集を担当された方です。
私も『SaPID入門』を出版するまでの過程で、鈴木さんに素案をレビューしてもらう→フィードバックを受け取る→修正するを繰り返したのですが、出来の悪い素案を見事に出版に導いてもらいました。
— きたのしろくま (@kitanosirokuma) 2020年10月9日
その時の体験が私の財産の一つになっています。
予稿集では「講演当日までお楽しみ」という内容が多くありますが、そのスライドページのタイトルを見ただけでもワクワクするものがいっぱいあります。
また、鈴木さんは「狩野モデル」で有名な狩野紀昭先生の下で論文を書かれています。その当時の狩野先生の言葉なども発表の中で出てくる予定です。
書籍出版という他業種の内容とはいえ、文章に拘りを持つ分野の具体的な例を持ったレビューのやり取りは、参考になるのではないでしょうか?
講演2 : ソフトウェア設計における意思決定とそのレビューの秘訣
2つ目の講演はウルフチーフの川島義隆さんによる講演です。
川島さんは、現在個人事業主として株式会社ウルフチーフを設立し、ソフトウェアアーキテクチャ設計に関する支援を行なっている方です。
また、JJUG等でも多く登壇されています。
有名なスライドでいうと、リクルートさんで行なっていた新卒研修の資料「現代的システム開発概論」やJJUG CCC 2018 Fallでの発表資料「思考停止しないアーキテクチャ設計」などがあります。
www.slideshare.net
今回の発表では、垂直思考、水平思考といった人間の思考の話や、レビュー時によく出てくる事象とその対策について話していただきます。
川島さん本人からもこんな予告が。
10月のJaSSTレビューで、そんな話をしようと思います。よろしくお願いします。https://t.co/PqjwfWU8JC https://t.co/BIZt7CIA6k
— :craftsman/kawasima (@kawasima) 2020年8月6日
以下のページの内容も事前に読んでおくと、より当日が楽しめるかもしれません。
事例紹介1 : 刺激語カードを用いたソフトウェアレビューの実践について ~アイデアを刺激し意識外から観点を得る
今回から新たな取り組みとして事例募集をしました。(本ブログでも、事例募集に関する記事を書きました)
結果、多数の応募の中から2名の方に発表していただくことになりました。
1人目の発表は、エムスリーの中塚裕美子さんによる講演です。
今回の発表では「刺激語カード」を用いて、観点を得ていくやり方での事例を紹介していただきます。
刺激語カード自体は、レビューやソフトウェアテスト以外の分野から持ってきたアイデアのようですので、どのようにレビューに応用して使っているのかなども発表されるのかなと期待しています。
また、この発表については既に紹介記事がありますので、そちらも参考にしてください。
事例紹介2 : レビューイの力を引き出すフィードバックのチューニング~チーム外からの支援で見えてきた、成熟度に応じた「問いかけ」の調整方法と各種レビューへの適用可能性
2人目の発表は、グロース・アーキテクチャ&チームスの常盤香央里さんによる講演です。
今回の発表では、チームの成熟度によって問いかけの方法を変えていくという事例を紹介していただきます。
レビューの時はもちろん、普段のチーム内の会話でも活かすことができる、問いかけ方法の考え方かなと思いました。
常盤さん本人による講演の紹介はこちら。
10/26のJaSST Reviewで事例発表します。
— かおりっと(ゆるぱし) (@caori_t) 2020年10月10日
レビュー対象は『スクラムチームのふるまい』で、どんなアプローチを試みたのか?という事例。
どうアプローチしたらレビューイ(レビューを受ける人)の成長に寄与できるのだろう?と思考しながら実践した日々をギュッと短時間に詰め込みきれるかお楽しみに! https://t.co/pV9Ko5H49L
事例紹介のお二方は事例投稿募集なので、講演内容の依頼まではしていませんでしたが、今回のJaSST Reviewでのテーマである「レビュー対象へのアプローチ方法」に沿った内容になっているようで大変嬉しいです!
おわりに
今回のJaSST Reviewでは以上の4名の方の発表をお届けします。
またイベントの最後では、鈴木さん、川島さん、私の3人がパネリストになってパネルディスカッションをすることで、さらにレビューについて深掘りしていきたいと思います。
まだまだ参加登録募集中です。気になる方がいましたら、参加申し込みをお願いします!