前回のJaSST Reviewってどんな感じだったのか紹介(パネルディスカッション編) #JaSSTReview

はじめに

2018年12月8日に、ソフトウェアレビューのシンポジウムである「JaSST Review」が東京で初開催されました。本記事はJaSST Review'18でどのようなパネルディスカッションになったのかを紹介します。

パネルディスカッション

講演いただいた白水様、及部様、鈴木様をパネラーとし、私がモデレータになってディスカッションを行いました。 ディスカッション内容は、私が予め用意したテーマの他、会場の皆さんの質問に回答していただく形をとりました。

その中で印象的な話を紹介します。

レビューでの深掘り対象を見つける手がかりは人である

レビュアーがレビュー対象物を見るにあたって、満遍なく対象物を見るという方法が取られがちです。 しかし、その人がどのような背景で書いているのかこそが大切なことです。

例えば、発表者の自信がなさそうな部分を見つけて深掘りします。自信がなさそうな部分は、曖昧な言葉になり、きちんと思考して書かれていないことが多いからです。特に、「なんとなく」や「◯◯さんが言ったから」という発言が出てきた場合は、書いた人自身が思考できていない可能性が高いです。 また逆に、自信満々になっている部分も深掘りすることがあります。これは、自信満々な部分ほど、詳しい内容を省略してしまっている可能性が高いからです。

時間軸を意識する

時間軸を意識してレビューをするという話が、すべての登壇者から出てきました。 それは、現時点では良くても、将来気になる点がよく出てくるからです。

特にレビューイにとっては、今を解決する傾向になりがちだと思うため、時間軸を意識するやり方は有効だと私も感じました。

レビュー中に「指摘」は行わない

レビューというと、「指摘を行う会」と捉えられがちです。 しかし、登壇者は「指摘する」ということはあまりなく、「質問する」ことで、中身を深掘りすることが多いようです。

質問することで、レビュー対象物を見るだけでは分からない、レビューイの思考を引き出すことができます。 そして、足りない部分や誤っている部分があれば、その部分を話し合うという形を取ります。

レビューをどこまで行うか

レビューの終了条件については、会場の皆さんにとって悩みの種だったようです。これもパネルディスカッションの中で話し合いました。

レビューは時間をかければかけるほどより良いものが出てきます。しかし時間は有限です。なので、「費やした時間の中でどこまで到達したか」で判断します。 チェックリストを満たしたかどうかなどよりも、参加者全員が安心、納得が得られるかこそが大事です。

おわりに

本記事ではパネルディスカッションの一部を紹介しました。 今回登壇していただいたお三方も含めて、「レビューの専門家」はほとんど存在しません。

この文章をご覧になっている方は、普段の業務の中で何らかのレビューをされているのではないでしょうか。 業務の節目などにレビューの知見をお互いに共有したり、ディスカッションしたり、振り返ってみたりしてはいかがでしょうか。 JaSST Review'19への参加も、もちろんお待ちしております。

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